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最近僕は、調子がいいんだ。

僕達は今絶妙なバランスで世界との調和を保っている。
僕はこの世界のほんのわずかな空間と時間にしか生きていない。
運じゃないんだ。成るべくして成った必然だよ。

まったく、難しいね。

大局から見れば僕なんて希薄な存在に過ぎないって事さ。
その中で、同じ場所で同じ時に世界を共有出来る人間はほんの僅かしかいない。
限定されてるんだ…君は僕にとって触れる事の出来る確かな存在だって事。
要するにタイミングが大事なんだ。タイミングを間違えると、全てを失うことになるからね。
タイミングなんだ。タイミング。
上手くバランスをとって自分を作り上げてかなくちゃ。
因にあんたと話しているのも、僕の自由意志だ。

戦争なんてどうでもいいですよ。僕はあの芸人と同じくらい興味ありませんね。
戦争や宗教対立、宇宙の真理、世界の終焉…
そんな仰々しい話には実感が持てない。
僕のこの慎ましい生活と直接の因果関係を感じないからね。
むしろこうして君と話をする行為自体に意味があるんだ。

僕の言っている意味、わかります?

どうして、何も答えてくれないんだ。

街が燃えてるんだ。最近よく見る夢なんだ。
また、幻聴だ。この電話の音は幻聴なんだ。その証拠に誰も出ないじゃないか。
やはりただの思い過ごしなんかじゃない。
母さん、いま電話鳴ったよね。やっぱり鳴ってるよ。
虫の羽音や電話のベルが止んで…耳が聞こえるようになったら、みんな消えてしまったんだ。
母さん、すいません。こんなハズではなかったのです。すいません。
ちゃんといつものように帰ってきます。許してください、母さん。
僕はいたって正常なのです。すべては順調にいっています。
だから許してください。母さん…

違う?ねぼける?何が?
新聞…?新聞てなんだ?
なんでこんな事に。

母さんは病気なんだ。どうかしてるんだ。

つまり殺しました。僕が。

そろそろ行かなきゃ。
悪いけど、仕事がまだ残ってるんだ。



仕事?仕事ってなんだ?
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